神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

危険ドラッグについて

(1) 危険ドラッグの撲滅に向けた県民への対応について

危険ドラッグは、規制のたびに成分の化学構造を少し変えた商品が出回り、対策が「いたちごっこ」になっていることから、昨年、国は薬事法を改正し、各自治体でも、独自の規制を行う動きが拡大している。本県でも、今定例会で「神奈川県薬物濫用防止条例」案が提案され、幻覚作用等の精神毒性を引き起こす危険性がありながら国が未指定の薬物を知事が指定し、販売や所持を禁止するほか、販売店舗への警察の立入調査をも規定し、また、違反した場合の罰則は、先行する都府県と比較して、最も厳しいものとなっている。

しかし、危険ドラッグの撲滅のためには、規制の強化だけでなく、県民一人ひとりが危険ドラッグを許さないという機運を県内すみずみに広めていくことが何より重要である。

そこで、この条例案には、県民の責務として、薬物の危険性に関する知識と理解を深め、濫用しないよう努めるとともに、県の施策に協力するよう規定しているが、県民の皆さんにこの責務を果たしていただくために、具体的にどのような対策を講じていくつもりなのか、所見を伺いたい。

黒岩知事答弁

昨年は、危険ドラッグの乱用による事件・事故が顕在化し、大きな社会問題となりました。

本県においても、昨年、危険ドラッグが原因と考えられる健康被害者は 191名に達し、うち死亡者は14名と、前年をともに大幅に上回っています。

危険ドラッグは安価で、ハーブやお香などという名称で売られているため、比較的若い世代で乱用される傾向にあります。
 現在、国は 1,448物質を規制していますが、次々と新しい物質が出回り、しかも成分がわからないため取締りが後手に回る状況もあります。

そこで、県として独自に対策を講じるため、今定例会に「神奈川県薬物濫用防止条例」を提案しました。
 この条例の中で、お尋ねの、県民の皆さんの責務については、薬物の危険性に関する知識と理解を深め、乱用しないよう努めるとともに、県の施策に協力するよう定めています。

危険ドラッグを撲滅するためには、日頃から地域で目を光らせ、危険ドラッグを持ち込ませない、排除していくという、県民の皆さんの意識を広げていくことが重要です。
 そこで、地域における薬物乱用防止の普及啓発について、保護司、薬剤師、青少年指導員など、「薬物乱用防止指導員」として県が選任した 471人の皆さんとともに、街頭キャンペーンを中心に取り組んでいるところです。

今後、指導員の皆さんに、新たに作成した DVD動画などを用い、自治会や町内会で、多くの皆さんに危険ドラッグの恐ろしさを伝えていただきたいと思っています。
 さらに、こうした活動チームに、例えば「危険ドラッグなくし隊」など、メッセージ性を持った呼称をつけ、広く紹介していくなど、県民の皆さんの関心を高め、県民総ぐるみの取組みに繋げていくことが大切だと考えております。

(2) 学校における薬物乱用防止教育の取組について

先日、私は横浜市立小学校で実施された「薬物乱用防止教室」を見学した。この「薬物乱用防止教室」は、講師に薬剤師の方をお招きし、専門的な見地から分かりやすい授業が展開されていた。

このように専門的な知見を持つ講師を外部から招き、普段とは違う緊張感の中で学ぶことは、児童や生徒にとって新しい発見が得られる貴重な経験となり、教員にとっても教科の指導書では得られない切り口やアプローチ方法が発見できる機会となっている。

そこで、今後の薬物乱用防止教育の充実を図るため、専門的な知識を有した外部の専門家を活用した研修を、教員の研修プログラムにきちんと位置づけて実施するなど、教員の指導力向上に向けた取組が必要と考えるが、所見を伺いたい。

桐谷教育長答弁

現在、学校における薬物乱用防止教育については、保健などの授業や特別活動の時間を活用して実施しています。そのため、指導する教員自らが、薬物についての正しい知識を習得するとともに、指導力を向上させることが大変重要です。

そこで、これまで教育委員会では、教員に対し、薬物依存の実態や薬物犯罪の最新情報を研修する専門 講座 を毎年開催してきました。また、ロールプレイング等の指導方法を盛り込んだ資料を作成し、授業での活用を図っています。

こうした中、近年、法規制等を逃れ、合法と称して販売されている「危険ドラッグ」が出回り、対面販売を伴わないインターネットにより、比較的安価で容易に入手できるようになっています。

児童・生徒が、これらの「危険ドラッグ」についても、正しい知識を持ち、健全な判断ができるよう、学校における薬物乱用防止教育のより一層の取組が求められています。
 そして、指導する教員は、これまで以上に薬物に関する専門的な知識や、薬物乱用の恐ろしさを分かりやすく伝える指導力を、身につける必要があります。
 そこで、教育委員会では、教職経験に応じて受講が義務付けられている基本研修のうち、5 年を経験した教員を対象とする研修プログラムの中に、来年度から新たに、薬剤師などの専門家による薬物乱用防止に関する講義を位置付け、実施してまいります。
 また、毎年開催している専門講座についても、映像や体験談を交えた、子ども達の理解を深めるための指導方法などを取り上げ、実践的な研修として充実していきます。

こうした取組を通して、さらに教員の指導力向上を図り、学校における薬物乱用防止教育をより一層推進してまいります。

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