定例会の無い月も常任委員会の開催を決めた事で、1月20日厚生常任委員会が午前中に、午後からは県より提出されている「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」の素案に対する総務政策・商工労働そして厚生常任委員会の3委員会合同の連合審査会に出席した。
午前中の質疑は1会派あたり15分程度というものであったため、
- 新型インフルエンザの国の死亡予測が大幅にアップすること
地域の取り組みしだいで、死亡率に大きな差が出ていることについて当局の見解を質した - 食の安全安心に関わる年末年始の製造所の巡回について
製造品に表示違反が見つかったとあるが、法律の知識不足から起こったのか、それとも意図的なのかを質し、指導を万全にと要望した
午後からは連合審査会に出席、各会派から受動喫煙防止条例の素案に対する痛烈な意見で終始した。
皆様も覚えていると思うが、12月定例会で私は全体の70%以上の中小の飲食店が現下の経済危機の下「禁煙か分煙かを選ぶ」ということは、禁煙にせよということであり、このような条例を作っていいものか、と論陣を張った。
これに対し当局からは「経済よりも健康」との答弁があり、その答弁を忘れないようにと釘をさしておいた。
このやりとりが各一般紙に報じられ、多くの県民・県外の住民から賛否両論の意見をいただいた。中には「お前は福祉の党の議員ではなかったのか?」「たばこ業界の回し者」と言わんばかりの批判、「このまま分煙装置などの新たなコストをかける余裕はない」「分煙のためのコストをかけなければならないのであれば、従業員を削らなければならない」等々であった。
私は、政治家として断言しておきたい。きれいごとではない、いつもの議会での発言は「県民の一員として」というスタンスを崩したことは無い!!
それは、2回の選挙を手弁当で、また血のにじむ思いで私を県政に送ってくださった支援団体・支援者に対する私の約束事だからだ!
忘れもしない、昨年の4月に知事が出した条例案は「禁煙条例」であった。
禁煙をするのか、しないのか?論点が明確なものであった。同時に「公共的」という言葉ほど分かりづらいものはない、とも思った。
その後、新聞報道によれば、知事はたばこ業界や飲食店関係からの要望等により9月の定例会では「禁煙条例」が「受動喫煙防止条例」という一歩も二歩も後退した内容になってしまった。
その時、私が思ったことは受動喫煙という条例になれば、分煙の形は、スペースは、過料についての詳細は等々、論点が多く出てくる。
果たして、その質疑に当局が耐えうるか、ということであった。
案の定、9月定例会、12月定例会そして1月20日の連合審査会においても論点は幅広になってしまい、当局が質問の答えなっていない問題や、答弁ができない状況が多々あったことは新聞報道でも確かなところだ。
1月29日の神奈川新聞の社説も県議会で店舗面積を100hmで線引きした根拠などをめぐって反発が上がっており、論点の一つとなっていると指摘し、その後「「違反をした個人に二万円以下、施設管理者には5万円以下の過料を科す」とする罰則である。
違反があった場合、県は実際どのような対応をとるのか。横浜駅周辺など3地区の指定区域内での路上喫煙を禁止し、違反者には二千円の過料を科す「ポイ捨て・喫煙禁止条例」を施行している横浜市の場合は、計18人の美化推進員が日々、街頭に繰り出している。違反者にはその場でペナルティを科す。
規制対象が屋外のため、市民からの通報や苦情も「たばこを吸っていた」という「過去形」が一般的だ。」として過料をめぐる問題も今後の論点になることを示唆している。
そもそも、このタバコ論議の根本問題であるタバコの害ということについては私も認めているし多くの国民が納得であろう。
しかし、喫煙問題ではWHOの「タバコ枠組み条約」や日本の「健康増進法」と「JT法」という相矛盾をした法を日本は抱えている。「健康増進法」と「JT法」という相矛盾をしたと書いたが、JT法のタバコ産業の育成という法がある限り、喫煙権というものを否定できない。
どうぞ、好きなだけ吸ってください、でも厳重に喫煙を取り締まりますよ、という大変に分かりにくい国である。
現に、よく知事や県当局が外国の例を引く。
しかし、諸外国の中でも禁煙にした国は197WHO加盟国のうちのたったの7カ国。
大半の国はその国の状況に合わせた形でのタバコ規制を行っているのだ。例えば香港の場合、ほぼすべての公共施設、レストランやバーでの禁煙となっているが、路上には喫煙のための灰皿が5メートル置きに置かれていて、とてもではないが臭くてそのそばを通れないと言うのだ。
同じくイギリスのパブにおいても出入り口には山のようなタバコの吸殻が捨ててある。
しかし神奈川県においては横浜市や大和市などに見られるように、駅前なのどの主要道路では「ポイ捨て・喫煙禁止」のエリアが一杯あるのだ。
道路でもすえないレストラン等でも吸えないならば職場や家庭で吸うのか?との疑問がおこる。
松沢知事や県当局が会った香港の日本料理店の会長が面白いことを言っている「香港は住民がIDをもっており、罰則を行使しやすい」「香港は半島であるの外には出られないので」禁煙が実施できたと言うのだ。
また、去年の4月に出されたジャパンタイムスにロサンゼルスタイムスの記者がフランスのパリを訪れ、レストランで喫煙をする人が多いい姿を見て、フランスは禁煙の国ではないのか?という記事を書いている。
結論はヨーロッパの多くは「テラス形」のレストランが多いことから外での喫煙は問題ないということであった。
しかし、日本の食事処は完璧な屋内。
ここにも喫煙の問題を外国と比較することができない状況があるということを分からなければいけない。
また「どうして神奈川県だけが」という論点はいつも私の頭から離れない。
どんなに喫煙者を追い込んでも、神奈川県から東京や静岡県に行けばよいのだ。
私は、9月の常任委員会でこれを「バルサン現象」と呼んだ。アパートで自室に虫が出るのでバルサンを焚くと、自室にいた虫は他の部屋に動く。
要は喫煙者が減るのでは無く、他に移って喫煙をするのみ。神奈川県民の健康と言うのであれば喫煙者を少しでも減らす手立てが重要なのではないのか。
と同時に、今まで述べた条例の執行にあたっての具体的な行動計画も無く、ただタバコの害が害がということで、条例を通す、通さないと言う議論に終始してよいのであろうか。
しかし、全国民がどうして禁煙に立ち上がらないのだろう?
この事のほうが大事な論点なのではないだろうか!
この事のほうが余程、論議を呼ぶべきであろう。
最後に、私にはある高齢の夫妻が、客が一人でも来るようにと毎日毎日、味に全力をあげている店の情景が頭から離れない。
その店はタバコを吸う人も吸わない人もこの夫妻の人柄に惹かれて食事をしに来る。
知事や県当局は、この飲食店の約70%も占める中小の飲食店(民衆)をどう納得させるのであろう。
ある時、その店で会った初老の男性から私に「公共施設でやればいいんだよ。どっかりとして。その内、神奈川県でやらなくても国が受動喫煙の防止に立ち上がる時が来るよ!」との言葉が、やけに説得力があった。