神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

「かながわ自殺予防情報センター」(仮称)を実現

2月4日、知事の予算説明の際、昨年9月の本会議代表質問で設立を訴えた「かながわ自殺予防情報センター」(仮称)の設置に予算が付いたとの報告があった。
人生を生きてきて、人間の死ほどつらく悲しいことは無い。その死を自らの手で命を絶つ「自殺」ほど悲しくつらいものは無い。
「自殺」は残された自死遺族や関係者をも巻き込み、その悲しみは計り知れない。「そんなに苦しんでいるのなら、話してほしかった。」「残された私たちはどうなるの!」告別式で関係者が棺にすがり泣き叫ぶ情景を私も何度か見てきた。そして涙をこらえながら自死遺族の方々の激励をしてきた経験もある。
行政はこういう人たちを何故助けられないのだろうとも思った。幸運にも県議会議員という立場をいただき、この問題を解決しようと思い、数年の月日が経った。調べていくうちに、行政が「自殺」という大変に厳しい言葉を避けている実態が分かった。しかし、私は批判を恐れず、これだけの社会問題化した事態に取り組むには「自殺」というはっきりとした言葉を使い、悩める人を又、自死遺族の方々も気軽に相談できる拠点の設置を訴えた。折から保健福祉部の吉川部長はじめ多くの職員の方々の努力があり、「かながわ自殺予防情報センター」となったことも付け加えておく。
同時に、今回のセンター設置は、今述べたような私の人生の中で出会った方々また自死遺族を含めた関係者に、わずかであるがご恩返しと心の拠り所となってくれることを祈るのみである。
さて、今回のセンターは横浜市港南区にある県精神保健福祉センター内に、第一号が開設するという。県職員の説明では自殺に関する機関は全国各地にあるが、県自体が直接センターを設けるのは全国で初めてであるとのことだ。
データによれば国内の自殺者数は1998年以降、10年連続で年間3万人を超えている。神奈川県内では1,600人から1,800人前後となっている。神奈川新聞によると、県警の調べでは2008年の自殺者は1,818人で、遺書から判明した原因は健康(780人)、経済(295人)、家庭(222人)、仕事(155人)、異性(55人)、学校(31人)の順だそうだ。
リーマンショックから始まった世界景気の後退は、日本においても内閣府が発表した2008年10月から12月期の国内総生産(GDP)は年率換算で12.7%減という大幅な落ち込みを記録したと言われる。失業問題も派遣社員から正社員にも波及するともいわれ、これを受けて先日の報道では警察庁も、年一回の自殺者に関する報告を毎月、都道府県別に発表すると言われる。何とも言い難いものがあるが、今回の「神奈川自殺予防情報センター」には自殺予防のベテラン職員らをコーディネーターとして配置する他、自殺現場を扱う「県警とも情報交換を行い都心への通勤者と、地域内で生活する人で自殺に至る経緯がどう違うかなど、より細かく現状把握に努めるとしている。
またセンターは各地域の状況を見極めたうえで、各種相談機関の担当者や企業の管理職らを対象として、自殺問題に携わる人材育成研修を実施したり、医療機関や学校、行政、民間団体などと地域が必要とするネットワーク整備を進める。“(以上、神奈川新聞の記事から)
今回の実績を振リ返って「政治家として思ったことを思ったように発言していくことの大切さ」を痛感した。本会議で、また常任委員会で「自殺」という強烈なテーマを避けて発言をしなければ、センターの開設は無かったであろう。同時に、「時期を逃さない」ということも学んだ。「この不況だ、だから、このセンターがあって良かった。」と言ってくださることを祈る。少しでも悩める人の拠り所となるものを、県下に数多く作りたいものである。

平成21年2月12日

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