神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

質問要旨

(1) 林道などの路網整備について

 本県の森林は、長年の努力で、水源地域の森林を中心に手入れ不足の解消が着々と進み、スギ・ヒノキなどの人工林は大きく育ち、全国と同様、利用時期を迎えている。木材の有効利用は地球温暖化対策に資するものでもあり、多くの人々の努力のたまものである森林資源の有効活用を、本県でも推進していくべきである。
そのためには、木材の生産地である「川上」から、木材を利用する消費地のいわゆる「川下」までスムーズな木材の流れを作り出すことが肝要である。林道は木材の流れを作るために重要な基盤で、本県では岡崎知事の時代に「林道整備の考え方」という方針を打ち出し、林道を限定して整備を進めてきたが、木材生産が活発化してきた中では、十分な整備状況とは言えない。
特に、木材搬出のための大型車両が通りづらいことや、近年、気象災害が頻発する中で通行止めが多発することなどの問題を多く耳にし、今後、林道の整備が重要な課題であると認識している。
そこで、木材資源の利用の時代を迎えたことを踏まえて、今後、どのように林道など路網整備を進めていくのか、所見を伺いたい。

黒岩知事

県産木材の利用促進について2点お尋ねがありました。

まず、林道などの路網整備の今後の進め方についてであります。
県内には約9万5千ヘクタールの森林があり、このうち林道から近く、木材の搬出が容易な森林の整備を木材生産と一体で進めますと、年間3万立方メートルの木材の搬出が必要となりますが、現状では約1万6千立方メートルに留まっております。
その理由として、木材生産に従事する林業労働力の不足や、全国に比べ低い生産性が考えられますが、これらに加え林道整備の現状があります。
本県の林道は、平成9年に定めた「林道整備の見直しの考え方」に基づいて整備を進めており、専ら林業活動に利用される林業振興型林道を中心に整備をするという考え方は、今後も変更はありません。
こうした中で、これまでは、主に路網の動脈となる幹線林道の整備が中心でありましたが、今後の木材生産を勘案しますと、林業活動に利用される林道整備には、3つの点で課題があります。

まず1点目が、幹線林道と枝葉である作業道・作業路の整備密度ですが、本県は全国平均の約7割であり、効率的な生産活動にはその整備が急務となっております。
2点目は、今日、木材の搬出には大型車輌が使われますが、かつて整備をした林道では対応できなくなっており、今後、大型車輌が通行するためのカーブの改良や、木材搬出のための作業ヤードの整備などが必要な状況です。
3点目は、かつて植林した杉やひのきが、現在、成長して木材としての活用が可能となっているところが増えておりますが、そうした森林には、林道が整備されていない場所が多い状況であります。
こうしたことから、県では今年度、県内5地域に市町村や森林組合等で構成する地域林業再生協議会を立ち上げ、林道の整備などについて検討を行っており、木材を生産する「川上」から製材する「川中」へのスムーズな流れを作る、新しい路網計画をできるだけ早期にとりまとめてまいります。

質問要旨

 (2) 県産木材の円滑な流通に向けた取組について

県では、これまでの総合計画の中で、県産木材供給拠点構想を県産木材活用施策の要として位置づけ、その実現に向けて検討を進めてきたと承知しているが、なかなか具体的な動きが見えてこない。
県内の木材生産は、これまでの取組の中で着実に増加を続け、昨年度は1万6千立方メートルと、取組を始める以前の平成15年度の4倍上に増加している。こうした状況の中で、昨年は、東日本大震災の影響で県内外の木材流通が一時期、停滞したことや、一度期に集中して木材が搬出されたことなどで市場機能が有効に働かず、原木が山や市場に滞るという事態が発生したと聞いている。 平成26年度に3万立方メートルを目標として、これまで以上に木材生産量の増加に取り組むのであれば、原木の流通部門での対策は喫緊の課題である。
そこで、これまでの県産木材供給拠点構想の検討状況はどうなっているのか、また、川中での円滑な木材の流れを作り出すために、今後、どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

黒岩知事

県産木材供給拠点構想の検討状況と、今後の木材流通の取組みについて、お尋ねがありました。
本県では、水源の森林づくり事業を中心として、森林の再生に取り組んでおりますが、県土の4割に及ぶ広大な森林を、将来に渡り適切に維持するためには、公的な整備だけではなく、森林循環が図られる木材生産など、民間の力を活かした取組が不可欠となります。
そこで、平成17年度に、森林整備に伴い生産された木材を製材加工する体制を整備するため「県産木材供給拠点構想」を打ち出しました。
その後、拠点を経営する企業を選定するなど、準備を進めましたが、国内各地で大型製材工場の整備が進む一方、いわゆるリーマンショックが発生するなど、拠点を整備しても採算見通しが厳しくなったため、平成21年に構想を白紙に戻したところであります。
しかしながら、森林整備を効率的に推進するには、木材の有効利用が不可欠でありますし、近年、外材の輸入が減少し、国産材の需要が高まっています。
そこで改めて県産木材の加工流通のあり方を検討してまいりましたが、県産木材の生産目標が最大で年間3万立方メートルと少なく、経営採算を考えると、新たな製材工場の整備ではなく、県外製材工場の活用と、県内製材業者の育成という二つの方向で、今後取り組むという結論に達しました。
まず、県外製材工場の活用では、スムーズな木材流通が課題となりますので、現在原木市場は、県西部に1カ所ありますが、さがみ縦貫道の開通が見込まれ県外へのアクセスの良い県央部に、新たな原木の流通拠点を検討しております。
また、県内製材業者の育成については、生産設備の拡充や、昨年創設した品質認証制度の活用による木材需要の掘り起こしなどの支援を進めております。
さらに、県内外の製材工場の需要と、森林組合などの伐採計画をマッチングさせ、相互の取引が円滑に進むよう両者を調整するコーディネーターの育成・活用に新年度から取り組むこととしています。
こうした取組を着実に推進することにより、製材の「川中」から消費の「川下」へ木材の円滑な流れを作り出し、林業再生につなげてまいります。

要望

先ほど知事から前向きの答弁をいただいた山の関係のコーディネーターだが、私のほうから提案させていただくが、名称を「マーケット・フォレスター」という呼び名にしていただくよう要望する。

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