神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

質問要旨

森林のCO2吸収効果に着目し、自治体と企業が協力して森林を整備する取組みが行われている。企業の協力により整備した森林が吸収するCO2吸収量を自治体が認証するもので、企業は「環境にやさしい」イメージだけでなく、具体的なCO2削減量も示すことができる。
さらに、木材が貯留するCO2の量、カーボンストックを認証する制度をつくれば、木材としての利用が促進され、伐採した跡地に植林し、大きく育て、さらに伐採して利用するという、森林循環の仕組みを促進する効果が期待される。森林循環の仕組みができれば、水源涵養機能など公益的機能の発揮が図られ、CO2の吸収量が増加するとともに、より多くのCO2を貯留することができる。県産木材のカーボンストックを認証する制度にすれば、県産木材の消費を促すこともできる。
そこで、CO2の吸収源としての森林の整備を、企業の協力を得てどのように進めているのか伺いたい。

また、森林で吸収したCO2を都市で貯留していくことが、森林整備にもつながり、地球温暖化の防止にも役立つことを広く県民に理解してもらうためにも、木材のカーボンストックを認証する制度を導入すべきと考えるが、併せて所見を伺いたい。

松沢知事答弁

まず、企業の協力を得て行う森林整備の推進についてでございます。
県では、これまで企業や団体と協定を結び、寄附とボランティア活動等により水源の森林づくり事業に協力していただく「水源林パートナー制度」を設け、森林整備を行ってまいりました。
さらに、本年3月には、地球温暖化防止に貢献したいという企業の意欲の高まりを捉え、これまでの制度を発展させ、企業等の寄附により整備する森林を特定し、命名権を与え、整備した森林のCO2吸収量算定書を県が発行する「森林再生パートナー制度」を創設したところでもあります。
現在、7つの企業・団体と「覚書」を締結し、既に3ヵ所で森林整備に着手しており、今後整備が完了しましたら、次の整備期間までのCO2吸収量を算定いたします。
この結果は、県のホームページで公表し、参加企業のCSR活動をPRすることで、さらに多くの企業に参加を働きかけてまいります。

次に、議員から、木材のカーボンストックを認証する制度の導入について、ご提案がありました。
現在、県内の木造住宅では、1棟あたり平均18立方メートルの木材が使用されておりますが、この木材を生産するためには、概ね1.7ヘクタール分の間伐が必要であり、間伐による森林の成長によって、CO2の吸収量が高まることになります。
このように、木材利用は、間伐を促進し、地球温暖化防止に直接貢献いたしますので、このことを県民に分かりやすくお示し、木材の利用を拡大することが重要であります。
しかし、住宅に使用する木材については、間伐した森林の位置や樹齢を特定できないことから、「森林再生パートナー制度」のように、間伐により高まったCO2吸収量の算定が、困難となっています。
そこで、木材の利用とCO2の関係に気づいていただく手法として、木材のカーボンストックを認定することは、有効と思われますので、今後、制度の具体的な内容について、検討をしてまいります。

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