神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

質問要旨

ロボット技術が、介護分野にも有効に活用される例が出てきているが、まだまだ浸透しているとは言いがたいのが現状である。その理由の一つとして「事故はないのか」「介護というヒューマンサービスにロボットはそぐわないのではないか」という現場の不安や疑問がある。このような不安や疑問を払拭するためにも、まず、行政がロボットの有効性をPRし、その普及に主体的に取り組んでいくべきと考える。
そこで、福祉関係者などと連携して、企業の力も借りながら、ロボット技術を介護分野に有効に活用していくためのプロジェクトを立ち上げてはいかがかと考えるが、所見を伺いたい。

松沢知事答弁

急速に高齢化が進む中で、ロボット技術は、介護・福祉分野において、負荷のかかる介護業務の補助・支援や、高齢者の日常生活の自立支援、さらには、生活の質の向上などに貢献をしていくものと期待されています。
本県では、平成18年度に川崎市、財団法人川崎市産業振興財団、大学、民間企業などと共同で「かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会」を設立し、ロボット技術を活用した新たなビジネスを創出するための環境づくりに努めています。
また、同協議会内に福祉分野と生活分野のワーキンググループを設置し、市場拡大が見込まれる福祉や生活分野におけるロボットの普及促進に向けた検討を行っております。
厚生労働省においても、医療、介護などを経済成長の視点で検討するため、同省の職員をメンバーとした「医療・介護・保育『未来への投資』プロジェクトチーム」を設置し、介護ロボット等の生活支援機器の新技術の開発について検討を始めたところです。
このように、医療・介護を意識したロボット技術の開発が進められてきておりますが、一方で、介護・福祉現場においては、まだまだロボットに対する理解が不足しており、ほとんど活用されていない実態があります。
そこで、議員お話のとおり、介護現場におけるロボット技術の活用について、企業と介護・福祉関係者が情報を共有することを通じて理解を高め、供給側と需要側のマッチングを図ることが重要と考えています。
そのために、県といたしましては、これまでの取組みに加えて、さらに、高齢者施設の関係団体や県内の大学等と連携を図りながら、ロボットについて、介護現場のニーズを把握するとともに、有効に活用していくための方策を研究してまいります。

質問要旨

認知症の方も自尊心を持っている。認知症により、自尊心を一番傷つけられているのはご本人であるということを、周囲にいる我々が理解し、認知症の方に「寄り添う」気持ちを持たなければならない。
周囲が、認知症の方ご本人を傷つけることを少しでも防ぐために、高齢化のスピードが早い本県で、認知症というものを少しでも理解し、それを県民全体に広めていくという取組みが必須である。
そこで、認知症の方たちに対する理解を促進し、社会に発信する、また、どのように接したらいいのかわからないという周囲の方たちの相談を行うこともできる、認知症に関するワンストップサービスを立ち上げてはいかがと考えるが、所見を伺いたい。

松沢知事答弁

認知症の方が、地域において尊厳を保ちながら穏やかな生活を送ることができるよう、県民ひとり一人が認知症という病気を正しく理解するとともに、地域ぐるみで認知症の方やその家族を支援していくことが必要であります。
そこで、県と市町村では、認知症について正しく理解し、認知症の方などを支援する「認知症サポーター」の養成を進めるとともに、サポーターを養成する講座の講師となる「認知症キャラバン・メイト」の養成にも取り組んでまいりました。
その結果、これまでに約3万6千人を超える県民の方々にサポーターになっていただきましたが、今後は、キャラバン・メイトの拡大も含め、こうした取組みを通して、積極的に認知症の理解促進に努めてまいります。
次に、認知症に関するワンストップサービスについてでありますが、様々な相談や問い合わせに一つの窓口で対応することは、認知症に対する理解を広めることや利用者の利便性から、大変重要であると認識しています。
現在、既に市町村が設置する地域包括支援センターでは、認知症に関する相談にも対応しているところですが、必ずしも十分に対応できていない状況がございます。
そこで、介護の面においては、経験者等が相談に応じる「認知症コールセンター」を、また、医療の面においては、東海大学医学部付属病院に、専門医療の提供や介護との連携を行う「認知症疾患医療センター」を来年1月に開設し、それぞれの相談に対応できる体制を整備することといたしました。
また、認知症疾患医療センターに地域包括支援センターや認知症コールセンター等をメンバーとする協議会を組織し、連携を図っていく中で、総合的な相談体制づくりを進め、将来的には、各地域の地域包括支援センターが認知症に関するワンストップサービスの拠点となるよう目指してまいります。
ちなみに、先日、部課長会議において認知症サポーター養成講座を行い、出席した職員は全員認知症サポーターとして指定されております。

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