神奈川県議会議員 鈴木ひでし 鶴見区選出 公明党

質問要旨

日本では、ジェロントロジストの数は極めて少ない。日本の高齢化率はついに20%を超え、日本人の5人に一人は65歳以上となった。 現在、65歳の人は平均して、男性で18年、女性で23年の人生が待っていることになる。60歳を超えても労働意欲が高い中高年の人々が、年齢によって差別されることなく、個人の能力を十分に発揮できる新しい社会を形成していくことが、公共部門の果たすべき役割なのではないか。
まず、日本においてはびこっている高齢者に対するステレオタイプのイメージを払拭するため、大学レベルで講座を設け、ジェロントロジー(老年学)を学び、高齢者に関する多くの活動に参加していく人を増やすことで、「人間は年をとって衰えていくのではなく、生涯発達していくのだ」という認識を広めることが大切ではないか。

知事に質問します。

県立保健福祉大学という貴重な資源を活用して、ジェロントロジーの研究や講座の開設などに取り組むとともに、既存の他大学の研究等とのネットワーク化を図り、高齢者の生き甲斐を創出し、それが尊重され活用される社会づくりを目指すべきではないかと考えるが、所見を伺いたい。

松沢知事答弁

県立保健福祉大学を活用したジェロントロジー、いわゆる「老年学」の研究や、他大学の研究とのネットワーク化などの取り組みについてのお尋ねをいただきました。
「団塊の世代」の高齢化に伴い、本県におきましても、平成27年には、県民の4人に1人が高齢者という、これまでに経験したことのない超高齢社会を迎えることが見込まれております。
このような急速な社会構造の変化を踏まえますと、高齢者が、その豊富な経験や知識を活かし、社会の担い手として、地域や職場で大いに活躍できるような社会づくりを進めていくことや、そのための研究も大変重要であると考えます。
これまで、医学、心理学などを中心に幅広い学問領域にわたる「老年学」として、老化のメカニズムの解明、高齢者の心理や社会生活に関わる諸問題の解決など、様々なテーマの研究が行われ、成果をあげてまいりました。
さらに、近年、超高齢社会の抱える複雑な問題に対応するため、研究の対象を高齢者そのものから、他の世代との関係や、社会全体との関わりまでに広げる取り組みも始まりつつあります。
中でも、社会の中で「人が人を支える」という関係に着目し、高齢者を始め様々な世代や身体的状態の方々が、連携し課題を解決していくための方策を探る新しい研究も始まっており、例えば、「対人援助学」といった専門的な領域の構築や、学会の設立に向けた動きもございます。
保健福祉大学においては、平成15年の開学以来、看護、栄養、社会福祉、リハビリテーションといった専門領域の枠を超え、「ひと」を総合的に捉える「ヒューマンサービス」の実現を目指した実践的な教育・研究に力を入れてまいりました。
こうした大学の特色を踏まえ、また、県民の誰もが生き生きと暮らせるような社会づくりを進める観点から、対象を高齢者とそれを取り巻く社会に拡げた「対人援助」に関する実践的研究の推進が期待されているものと考えます。
このため、保健福祉大学において、議員のご提案のあった「老年学」の領域を含め、新たに「対人援助」に関する研究会を設置し、今後、他大学の研究ともネットワーク化を図るなどにより、この研究会を発展させ、成果を広く地域へ発信するため、公開講座やセミナーなどの開催を、大学とともに検討してまいります。
このような学問的取組みを広げることにより、高齢者一人ひとりが大切にされ、生きがいをもって能力を発揮し、尊重されるような社会づくりを目指してまいります。

<<戻る 「平成20年神奈川県議会9月定例会」へ 次へ>>